2013年05月28日

またまた不定期ではありますが、
気になる書籍についても皆さんにご紹介していこう、
と考えております。

第一回目の今回は、深田浩嗣氏が執筆された
「ゲームにすればうまくいく」(NHK出版)です。



全体を通して興味深い内容なので、
マーケティング業務に携わっている方にはお奨めなのですが、
特に「オンボーディング」に関する章は必読です。

弊社がコンサルティングさせていただいている企業さんの中には、
このオンボーディングの考え方が足りない企業さんが散見されます。

例えば、こんな事例がありました。

某ショッピングモールに出店しているショップが、
ショッピングモールで働いているスタッフを対象に
インナーセールを行おうとしていた時のことです。

スタッフの休憩室に貼り出す告知ポスターの原稿を確認すると、
「〇〇ショッピングモールで働いている社員の皆さんは、
期間中20%オフで商品を購入いただけます」とありました。

そこで弊社代表の松山は質問しました。
「社員とは正社員の方だけが対象ということでしょうか?」と。

すると、
「いや、アルバイトの方も対象ですよ」との返答。

社員という文言を使って問題になったことが無いので、
どうやら今まで深く考えたことがなかったようでしたが、
「社員の皆さんは20%オフ」というポスターを読んだ人達は、
「ワタシはアルバイトだからダメなのかな?」
「ワタシはパートだからダメなのかな?」
「契約社員はいいのかな?」
など、さまざまな疑問を持っていたに違いありません。

今の時代、わざわざその疑問を解消するために、
質問してくれるなんて滅多にありません。

多くの場合、
「よく分かんないからいいや」と、なってしまいます。

まさに「オンボーディング」の段階で失敗していたのです。

「ゲームにする」以前の問題ですね。

ゲーミフィケーションは確かに有効な手法となり得ますが、
「その前にやるべきことがないか?」

そんなことにも気付かせてくれる、優れた書籍だと思いますので、
一読されることをお奨め致します。

ちなみに、インナーセールの告知ポスターは、
対象が誰なのか、具体的に割引を受けるための手順、を明記して
貼り出すことになったのは言うまでもありません。